猫の腎不全の兆候とは?早期発見するにはどうしたらよい?

泌尿器の病気は猫ちゃんの宿命。

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猫の腎不全のタイプついて

猫ちゃんはあまり水を飲まない生き物なので、他のペットよりも泌尿器のトラブルが多い傾向があります。代表的な病気として『腎不全』『猫下部尿路疾患』があります。

腎不全には『急性腎障害』と『慢性腎臓病』の2つのタイプがあります。以前は前者を「急性腎不全」、後者を「慢性腎不全」と呼ばれていました。

『急性腎障害』は比較的に若い猫ちゃんに多くみられ、『慢性腎臓病』は中高齢の猫ちゃんになってから見られる病気です。

泌尿器の病気は猫ちゃんの宿命ともいえるので、飼い主さんが重症化させないためにも健康管理してあげる必要がありますよ。

急性腎障害について

『急性腎障害』はおもに『尿石症』や『尿道閉塞症』などの『猫下部尿路疾患』が原因で、急激に腎臓の機能が低下していくものです。

もっとも多いのが結石による『尿道閉塞症』で、治療が遅れると1日で亡くなる場合もあります。発見が早ければ完治する病気です。

急性腎障害の兆候

『尿道閉塞症』では、トイレの時間が長かったり、落ち着きがなくなり何度もトイレ行くような兆候がみられます。

症状が進むと元気がなくなり、食欲がなくなったり、何度も吐くようになります。尿毒症を起こすと痙攣けいれん意識混濁いしきこんだく昏睡こんすいといった症状がみられます。

急性腎障害の特徴

急性腎障害は早期発見が重要で、早い段階で適切な処置をすれば腎機能が回復する可能性が高くなります。

『急性腎障害』は腎臓の働きが1日以内~数週間で急激に低下するもの。
  • 【おもな原因】下部尿路疾患、ウイルスや細菌感染、植物や薬物による中毒、重い貧血や脱水症などが原因でも起こります。
  • 【おもな症状】初期では食欲低下、元気消失、オシッコの量が減る、または出ない、嘔吐などがみられる。病状が急激に悪化し尿毒症を起こすと、痙攣、体温低下、昏睡といった症状が現れます。
  • 【おもな治療】利尿剤や点滴を使用して血液中の老廃物を取り除きます。症状が重ければ透析治療を行います。尿路が閉塞しているときは手術が必要になることも。

慢性腎臓病について

『慢性腎臓病』は下図のような比率で中高齢の猫ちゃんにみられ、長期的に腎臓の機能が低下していく病気です。

8歳前後から発症率が増えはじめ、15歳前後になると3匹に1匹は発症している割合になります。

ペルシャなど、猫ちゃんの品種よっては『多発性のう胞腎』という遺伝性の病気が見られます。これも慢性腎臓病の1つです。

慢性腎臓病の兆候

初期の段階では目立つ兆候や症状などがみあたりません。

ある程度病状が進行してくると、多量に水を飲んだり、食欲が落ちたり、元気がなくなったり、痩せてくるなどの症状がみられるようになります。

中年齢から老年齢にかけて発症するため、加齢のせいとして見過ごされることが多いので注意が必要です。

慢性腎臓病の特徴

『慢性腎臓病(CKD)』は数ヵ月~数年かけて腎臓の働きが低下していくもの。
  • 【おもな原因】老化やほかの病気(猫エイズ、猫白血病など)が影響して発症することもありますが、原因が特定できないものも多いようです。急性腎障害が長引くとそのまま慢性腎不全に移行するケースもあります。
  • 【おもな症状】はじめうちはこれといった症状がみられませんが、ある程度病状が進行すると食欲不振、元気消失、体重減少、多飲多尿などがみられます。末期では尿毒症を併発し痙攣、体温低下、昏睡といった症状がみられ死に至ります。
  • 【おもな治療】長い時間をかけて腎機能が低下していくため一度発症すると完治はのぞめません。治療は対処療法がメインで原因となる病気あればそれを治療しつつ、腎機能の低下を抑えて現状を維持する治療になります。そのため症状を緩和する内科的治療と食事療法が併用されます。

慢性腎臓病の進行を抑える新しい薬「ベラプロストナトリウム」

慢性腎臓病に新しく使われるようになったこの薬はベラプロストナトリウムという成分の内服薬で、慢性腎臓病の進行を抑え症状を改善する効果があります。
現在、主に使われている慢性腎臓病薬の効能は、蛋白尿や尿毒症の抑制で、本剤のように病気の進行の抑制を効能に挙げた薬はこれまでありませんでした。(中略)

本剤は炎症をしずめ血流を回復する働きを持ち、低酸素と線維化を抑え慢性腎臓病の進行を抑制します。同時に病気によって低下した元気と食欲を改善し、体重減少を抑える働きもあります。 (埼玉県獣医師会より抜粋)

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慢性腎腎臓病を早期に発見するには


慢性腎不全は初期には症状が全くみられない病気なので、症状らしい症状がが出たときには病状が進行しているケースがほとんど。

猫ちゃんが7歳以上になったら、獣医師さんに定期的な腎臓病のチェックしてもらうとよいですね。ちなみに上の画像はうちの猫ちゃんの検査結果です。

また最近では血中の「SDMA(対称性ジメチルアルギニン)」の濃度を調べる新しい検査があり、従来の検査よりも早期に腎疾患を発見することができます。

 従来の検査 血中のBUN(尿素窒素)とCre(クレアチニン)の濃度で腎臓の働き評価します。これらの濃度が高ければ腎機能が低下しているということになりますが、腎機能が75%失われても数値が上がらないとの報告があります。


 新しい検査 血中の SDMA(対称性ジメチルアルギニン)濃度を調べる新しい検査。腎機能の約40%が失われた段階で数値が高くなる。そのため従来の検査よりも(平均で17ヵ月)早く異常が発見できます。

まとめ

急性腎障害は尿石症などの猫下部尿路疾患が原因で起こるのがほとんど。初期症状などの兆候がみられたら早期の治療が必要。

慢性腎臓病は老化や他の病気などが原因で徐々に腎機能が低下していく病気です。とくに初期症状もみられないため、ある程度症状が進行しないと気がつきません。

また急性腎障害の発見が遅れて腎臓にダメージを受けると、慢性腎臓病に移行するケースもみられます。

それらの病気を予防するためにも、猫ちゃん飲水量を増やす工夫をしたり、定期的な健康チェックが大切になります。

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