猫の慢性腎不全はどのように予防したらよいの?
猫の泌尿器のトラブルは宿命といってもよいほど多くみられます。
とくに腎臓は一度壊れると治らないので早期予防はとても大切なのです。
猫の腎不全の予防法
腎臓は体内の老廃物を尿として排出するだけではなく、他にも大切な役割がいくつかあります。
腎臓の役割
血液を濾過して老廃物を尿として排出する
血圧を調節する
骨髄の細胞を刺激して血液をつくる
体液量やイオンバランスを調節する
活性型ビタミンDをつくりカルシウムの吸収を助ける…など
それらの機能が低下することで様々な症状が起きてくるものを「腎不全」と呼びますが、
腎不全には「急性腎不全」と「慢性腎不全」の2タイプがあります。
最近では急性不全を「急性腎障害」、慢性腎不全を「慢性腎臓病」と呼ばれています。
腎不全 | おもな特徴 |
---|---|
急性 | 腎臓の機能が急激に低下する病気。早期に治療すれば腎機能が回復する可能性があります。比較的若い猫に発症します。 |
慢性 | 週ヵ月から数年かけて徐々に腎臓の機能が低下する病気。低下した腎機能は回復することはありません。中年齢から高年齢の猫に多くみられる病気です。 |
補足 | 腎機能が極度に低下すると体にどんどん毒素が溜まっていきます。これが尿毒症と呼ばれるもので腎不全の最終段階(末期)といえます。 |
尿路結石などで尿道閉塞を起こした場合、急性腎不全を引き起こし急死するケースがあります。
慢性腎不全は目立つ初期症状が見られないため、気づいたときには病状が進行しています。
それでは猫の腎不全を予防するには日頃どんなことに注意すればよいのでしょうか。
1 日頃の健康管理

急性腎不全を引き起こす原因には猫下部尿路疾患(FULTD)、細菌感染や中毒、心疾患…などがあります。
急性腎不全は発生のメカニズムにより腎性腎不全、腎前性腎不全、腎後性腎不全の3タイプに分けられます。
タイプ | 発生のメカニズム |
---|---|
腎性 | 細菌感染や薬物中毒などで腎臓(糸球体や尿細管)そのものにダメージを受けて起きるもの。 |
腎前性 | 心筋症や先天性心疾患などで腎臓への血流が不足することで起きるもの。 |
腎後性 | 疾患尿路結石や※尿道栓子などによる尿路閉塞が原因で起きるもの。 |
補足 | ※炎症によって尿路からはがれ落ちた結晶成分や細胞 |
猫下部尿路疾患の20%は尿路結石によるものですが、50%は原因不明といわれています。
急性腎不全の治療が長引いた場合、慢性腎不全に移行してしまうケースが多くみられます。
それでは原因別による急性腎不全の予防について見てみたいと思います。
おもな原因 | 予防法 |
---|---|
猫下部尿路疾患 | 尿路結石の予防には飲水量を増やすこと、猫下部尿路の健康をサポートしたキャットフードへの切替え、運動量を増やすこと…など。煮干などミネラル分の多いオヤツは控えること。肥満の猫では尿路結石のリスクが高くなる傾向がみられます。 |
細菌感染 | 細菌感染を防ぐにはトイレを清潔に保つこと。トイレの砂を抗菌チップに替えたりシステムトイレにするのも方法です。 |
中毒や心疾患 | 動物病院での定期的な健康チェック。中毒性のものを遠ざけること。詳しくはコチラを参考に。 |
寒い時期になると猫の飲水量が減るので急性腎不全なるリスクが高くなります。
寒い時期には部屋を暖かくしてよく運動させることで飲水量を増やすことができます。
おやつを水分量の多い「ちゅーる」などにするのも効果的だと思いますよ。
【猫が水を飲まない】猫に水を飲ませる4つの方法
2 ウイルス感染を防ぐこと

慢性腎不全は「猫エイズ」「猫白血病」などの免疫力が低下する病気でも発症します。
免疫力が低下すると細菌に感染しやすくなり、糸球体腎炎や腎盂腎炎といった腎疾患を引き起こします。
定期的な予防接種を行い、室内飼いを徹底して外の猫と接触させないようにするのが大切。
外に出歩くのが好きな猫にはハーネスを装着して、飼い主の監視下で散歩させてあげましょう。
【毎年】猫の予防接種の回数と費用について調べてみた【必要?】
3 定期的なチェック
慢性腎不全は症状が現れてからでは遅いので、症状が現れら前に発見したいものですね。
そのためには猫が慢性腎不全の適齢期になったら動物病院でチェッてもらうのがよいです。
じゃその適齢期はいつなの?となると思いますが、その前に下記の表を見てください。

8歳前後から発症率が増えはじめ、15歳前後では3匹に1匹は発症していることになります。
8歳で慢性腎不全が発見されたということは、数年前から腎機能が低下していったと考えられます。
よって6歳頃から毎年病院でチェックすれば早期発見できる可能性があります。

「アニコム」の調査によると6歳を境に腎臓病が増えていることがわかります。
そのことから猫ちゃんが6歳になったら泌尿器のチェックをするのが妥当だと思われます。
最近では「SDMA」という慢性腎臓病を早期に発見できる検査薬が使われています。
また慢性腎臓病の進行を抑える「ベラプロストナトリウム」を有効成分とする内服薬もあります。
慢性腎臓病を早期に発見できれば長期的なコントロールが可能になると思われます。
また慢性腎臓病の進行を抑える「ベラプロストナトリウム」を有効成分とする内服薬もあります。
慢性腎臓病を早期に発見できれば長期的なコントロールが可能になると思われます。
4 ストレスを与えないこと
長期的にストレスに
またストレスは腎臓への血流を低下させ、さらに腎機能を低下させる原因になります。
とくに持病がある高齢の猫の場合、ストレスが原因で病状が悪化してしまうこともあります。
【鳴き声が切実】見逃すな!猫のストレス症状5つのサイン
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尿毒症について

猫によって病状の進行に差がありますが、慢性腎不全は確実に悪化に向かう病気です。
猫が尿毒症になると食欲低下、嘔吐、下痢、体重減少などがみられるようになります。
もし慢性腎不全でこれらの症状がみられたときには、重い尿毒症になっていると考えられます。
尿毒症は腎不全の最終段階で、最終的には痙攣(けいれん)や昏睡などを起こして亡くなります。
まとめ
腎不全を予防するには食事内容、トイレ環境、飲水量など日頃の健康管理が大切。
慢性腎不全は目立つ初期症状がないため猫が6歳を過ぎたら病院でチェックしてもらいましょう。
そのときに問題なかったとしても数年後に発症することもあるので油断は禁物ですよ。

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